大切なマイホームを何としても守りたいのは誰でも同じですが、どう頑張っても住宅ローンを支払っていけない状況になる事があります。収入の減少、想定外の出費など、あなたが注意していても起こりうる可能性はいくらでもあります。
しかし、そういった状況になったとしても全てを失った訳ではありません。ローが残っている住宅だけ手放してしまえばいいのです。
しかも、毎月苦しめられてきた住宅ローンから、あなたを守ってくれる「任意売却」という制度がしっかり用意されています。
全ての方が適用できる制度ではありませんが、任意売却とはどんな制度なのか知り、あなたにとってどの程度メリットをもたらしてくれるのか確認してみてください。
1.任意売却とは
まずは任意売却とはどのような制度なのか?初心者の方でも理解できるように説明してきます。
住宅ローンなどの返済が困難になった場合、債権者は担保権の実行により債権を回収する事になるが、競売による売却では現金化までに時間がかかるうえ、市場価格より安くなるケースもある。
そこで、不動産仲介により債権者・債務者の調整を行い、市場で担保不動産を売却すること。
出典:コトバンク
担保不動産は許可なしに売却できない
上記は「任意売却とは」と検索すると表示されるものです。意外に分かり易く説明されていると思いますが、理解できない方のためにもう少し簡単な言葉で説明しておきます。
▼任意売却をわかりやすく
債権者(銀行など)はあなたにお金を貸す代わりに、購入した住宅を完済するまで「担保」として扱います。また、担保されている不動産は債権者の許可なしに売却することはできません。
支払いが困難になって一番困るのは債権者であり、何としても回収しなければいけません。その際、「競売※」では通常より安くなってしまう為、残債が残り未回収で終わってしまうリスクがあります。
※競売については「不動産競売によるデメリット – 差押えによる3つのリスク」で詳しく説明してますが、以下のような内容です。
※競売とは
ローンが払えなくなると債権者が裁判所を通し物件を差押え、60%程度の価格で市場に売却してしまう事
そこで不動産会社が仲介をして売却してもらう事で、競売より高く売る事で多くのお金を回収をでき、その後の返済計画なども立てられます。
しかも債務者は競売より負債額が減り、以後の返済も相談して決めるので困る事はないでしょう。また、債権者は当初の返済計画が変更されはしますが、未回収のリスクが減ります。
2.任意売却のメリット
ローンの支払いが困難になった場合、債権者より物件を差押えされる可能性がありますが、その際、競売にかけられ裁判所からの命令で強制的に退去する必要があります。退去した後も残債の返済が滞り、自己破産などをしてしまうケースが非常に多いです。
しかし、任意売却であれば住宅を失うだけで、その後はこれまでと変わらぬ生活が続けることができます。その他にもいくつかメリットがあるので紹介していきます。
売却額が多い
任意売却と聞くと、相場より明らかに下回った売却をされてしまいそうですが、一般的に競売に比べると高い金額で売却されます。よって債権者に対してもより多く返済する事ができます。
支払が楽になる
物件を売却しても残債が残る方は多いです。その支払いで頭を悩ませては意味がないので、不動産仲介の元、あなたが可能な返済計画を立てることができます。
他人に知られない
競売ですとインターネットや新聞など「競売物件」と宣伝されるため、他人にして知られる可能性は高いです。任意売却だと通常の売却とあまり変わらないので、どのような売却方法なのか知られる事はありません。
仲介手数料が掛からない
任意売却は支払いに困っている人を助ける制度なので、本来払うべき仲介手数料が免除されます。また、初期に掛かる費用はなく、売却できた時に「売却価格の3%+6万円」が掛かるだけです。
引越し代がもらえる
不動産会社によっては売却後の引越し代を負担してくれるところもあります。大体20万円程度が相場で、次の場所へ移動する時の費用を心配しなくて済みます。ただ、広告などで相場を遥かに超えた引越し代を見かけるので、そういった業者には近づかない方が良いでしょう。
新しい生活の準備ができる
任意売却は不動産会社と相談しながら進めていくので、進捗状況などが分かり易く売却後の生活の準備がしやすいです。競売でも時間的にはゆとりのある場合がありますが、時期について相談される事はなく、裁判所からの命令に怯える日々が続きます。
3.任意売却ができないケース
任意売却のメリットをお伝えしましたが、債務者に対して優しい制度と感じたはずです。もし、私がローンの支払いを続けていく事が出来なくなった場合、競売にかけられる前に「任意売却」を選択すると思います。
しかし、冒頭でも説明しましたが、任意売却をしたい人が全員許可される訳ではありません。
あくまで決定権は債権者が握っており、支払いで迷惑を掛けない為にお願いする立場だという事を忘れてはいけません。進め方によっては債権者が同意してくれないケースもあるので、いくつか注意する点を理解しておきましょう。
税金を滞納している
任意売却ができないケースで一番多い理由が「税金の滞納」です。国が定めた制度なので滞納者には厳しくしているのでしょうが、ほったらかしにしていると住宅が差押え対象となってしまいます。仮に税金の滞納がある場合は、役所へ相談に行き、少しずつでも支払うようにしてください。
保証人に同意を得られない
金融機関から住宅ローンの融資を受ける際、基本的に連帯保証人を付けていると思いますが、その保証人から任意売却を認めて貰えない場合は不可となります。
ほとんどの場合は近い人間であるケースが多いので状況を話せば大丈夫かと思いますが、保証人自体の行方が不明な時や、連絡がとれないなどの理由から承諾を得られないケースがあるようです。
債権者の同意を得られない
任意売却を不動産会社に依頼したとしても、債権者から同意を得られないケースがあります。理由は様々ですが、要因と考えられるものを記載しておきます。
- 不動産会社のスキル不足
- 売却希望額が折り合わない
- UR都市機構などの団体
▼不動産会社のスキル不足
任意売却には専門的な知識がたくさん必要であり、一般的に不動産会社への依頼が鉄則です。ですが、任意売却を行ってきた経験、スキルがあるところに頼まないと後々トラブルになる事もあります。
金融機関にもメリットが多いのでほとんどのケースで同意を得られるはずが、不動産会社が原因で流れてしまったという話はよく聞きます。
▼売却希望額が折り合わない
不動産会社のスキルにもよるものですが、債権者が任意売却を認める要因として「競売より高く売却できる」という前提があります。したがって債権者が求める金額と折り合わない場合は、同意を得られない可能性もあります。
▼UR都市機構などの団体
100%無理ではありませんが、任意売却の同意を得られないケースが多いです。断られた理由を聞いた事はありませんが、金利で利益を上げる金融機関とは考え方が違うからでしょう。その場合は競売となります。
最悪、任意売却の手続きが進められない場合「不動産競売」なってしまい、天と地ほど状況が変わってしまう事になります。
競売のデメリットについては「不動産競売によるデメリット – 差押えによる3つのリスク」を見てもらえれば分かります。
まとめ:任意売却のメリット
任意売却について紹介しましたが、住宅ローンの支払いが困難になっているのなら、手放したとしてもその状況を改善したほうが絶対に良いです。無理しても結局、競売にかけられ無駄なあがきとなってしまう可能性が高くなってしまいます。
日本は債務者に優しい国なので、どうしてもきついときは縋るのも勇気だと思います。金融機関に迷惑を掛けている事には間違いありませんが、返していく誠意を見せられるのが「任意売却」だと思います。
あまり具体的な説明ではなかったですが、ご不明な点があればお気軽にお問い合わせください。