J-REIT投資によって利益を出し続けている人がいますが、その人たちに共通して言えることは「銘柄の選び方」にあります。ネット上なの情報に左右されずに、自分なりの選び方を確立できれば、長期間の運用をする事が可能です。
しかし、初心者の方がすぐそのようになるのは無理難題であり、知識がないことが決断力を鈍らせてしまっている状況をよく見かけます。
ただ、頭でっかちな投資のアナリストでさえ、全く予想通りにならないのが投資であり、情報だけ詰め込めば良いという訳でもありません。成功している人はあまり多くの指標は見ず、最低限の情報だけ見ているものです。
今回は初心者でも実践可能な「成功者の選び方」を紹介していきます。
1.J-REITの種類
J-REITで銘柄を選ぶ時は、大きく分けて3つの運営方法(特化型・複合型・総合型)があり、更にその中に不動産の種類が5つあります。最低でもこの内容だけは理解しておかないと話になりません。一度に覚えるのは難しいので、下記の代表的なものだけでも把握しておいてください。
※注意:それぞれの種類に対してのREITを紹介していますが、Yahoo!ファイナンスのページへリンクするようにしています。
1-1. オフィスビル特化型
オフィスビルへの投資に特化しているREITです。景気によって大きく左右されてしまう為、安定性に欠けてしまうデメリットがあります。しかし、オフィスの規模が大きく立地が良い場合、他より高い収益性を期待できるREITでもあります。
リスクが高くてもハイリターンを望む人
■オフィスビル特化型のREIT
- 日本ビルファンド投資法人(8951)
- ジャパンリアルエステイト投資法人(8952)
- グローバル・ワン不動産投資法人(8958)
- 野村不動産オフィスファンド投資法人(8959)
1-2. 住宅特化型
住居として利用する住宅に特化したREITです。同じ特化型のオフィスビル特化型と比較すると、高い収益性はそこまで望めませんが安定性は高いです。
長期間安定的な収益を望む人
■住宅特化型のREIT
- スターツプロシード投資法人(8979)
- 大和ハウス・レジデンシャル投資法人(8984)
- 日本賃貸住宅投資法人(8986)
- 積水ハウス・SI レジデンシャル投資法人(8973)
1-3. ホテル・リゾート型
ホテルやリゾート施設に特化したREITです。安定性、収益性に関しては運営している会社の業績に大きく左右されます。当然、景気と業績が連動する可能性が大きいので安定性が高いとも言えません。
株主優待券などを有効活用できる人
ホテル・リゾート型のREIT
- ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)
- 星野リゾート・リート投資法人(3287)
1-4. 物流特化型
物流関連の施設に特化したREITです。住宅特化型と比較しても、景気に大きく左右されることがなく、高い安定性があります。しかし、主要のテナントが撤退した際に収益性が著しく低下する可能性があります。
安定性、収益性ともに求める人
■物流特化型のREIT
- 日本ロジスティクスファンド投資法人(8967)
- GLP投資法人(3281)
- 日本プロロジスリート投資法人(3283)
1-5. 複合型
ひとつのものに特化せず複数の不動産に投資するREITです。例えばオフィスビルと住居のように、違った用途を組み合わせてリスクを分散するスタイルです。今のところ総合型に次いで人気のあるREITです。
安定性を重視する人
■複合型のREIT
- 大和ハウス・リート投資法人(3263)
- 野村不動産マスターファンド投資法人(3285)
- 産業ファンド投資法人(3249)
- 日本プライムリアルティ投資法人(8955)
1-6. 総合型
複合型と同じくひとつものに特化せず複数に投資するREITです。ただ、複合型との違いはオフィスビルと住居とホテル・リゾートといったように、3つ以上を組わせて用途限定しないREITです。
安定性を重視する人
■総合型のREIT
- オリックス不動産投資法人(8954)
- 森トラスト総合リート投資法人(8961)
- 阪急リート投資法人(8977)
- 森ヒルズリート投資法人(3234)
2.不動産物件情報
REITの種類を把握しその特性などを理解すると、自分に適したものがある程度絞れてくるはずです。その際、ひとつに絞れれば良いですがそう簡単には選べないと思うので、いくつか目ぼしいREITにチェックしておきましょう。そして、これから説明する書きの項目を調べ、物件の情報などを見比べてみましょう。
下記情報はネット上にいくらでもありますが、下記の「不動産投資情報ポータル」などでは無料で確認することができます。登録した証券口座でも調べられますが、初心者には少し視覚性に欠けることが多いのでおすすめです。
3-1. 稼働率
稼働率というのはREITが運用している不動産に対して、人や会社がどのぐらい入居しているかの割合です。当然、稼働率が高いほど健全な運用ができており、高い収益性を期待することができます。逆に稼働率が低い場合は、過去のデータからさかのぼって調べてみる必要があります。
3-2. 物件数
物件数とはREITが保有している不動産の数です。仮にA法人が10、B法人が100の場合にどちらの方が安定性に優れているでしょうか?B法人の方が所有している物件が多いので、リスクの分散ができて安定性が高いと推測できます。物件数だけで全てを判断することは難しいですが、ひとつの参考データとしては知っておきましょう。
3-3. 築年数
築年数の意味はご存じだと思いますが、新築の物件と10年以上経っている物件と比較した際、将来的な支出に大きな差が出てくる可能性が高いです。新築の物件は入居希望者を集めやすいですが、NOI利回りが低くなる傾向にある一方、古い物件では大規模修繕などの支出が増えてしまいがちですが、NOI利回りは高くなる習性があります。
全てにおいて満足できる物件はなかなかないのが現状ですが、築浅でNOI利回りが高く、物件数も充実して稼働率が高いREITを基準に選びましょう。
3.運用状況の把握
投資するREITによってそれぞれの特性があり、運用状況も異なってきます。人気だから購入するといった方法は皆考えることであり、本来の運用状況と人気が比例しないことは日常茶飯事に起っています。なるべく自分で状況を把握し、解らない点がある場合は専門家などに相談することをおすすめします。
2-1. NOI利回り
NOI利回りというのは、NOI(準営業利益)を物件価格で割った指標のことです。NOI利回りが高いほど収益性の高く効率的に運用ができていると判断できるため、銘柄を選ぶ際にとても重要な指標であるといえます。
2-2. 信用格付け
信用格付けとは属する国、財務状況、業界などの分析を行い、どの程度信用できるのか記号を用いて評価することです。最高ランクがAAAでAA・A・BBBといった順に評価されます。もちろんランクが高いほうが信用があると判断され、銘柄を選ぶ際にひとつの基準として確認しよう。
注意:AAAの評価を受けていた債権が数日後にランク外に格下げされた例もあります。格付けしているのはあくまで民間会社である事を忘れないように。
2-3. スポンサー企業
REITが成長していくにはスポンサー企業の協力が必要不可欠であり、どの企業がバックアップしているのか確認するのは必須です。スポンサー企業の規模、信頼性は必ず調べるようにしましょう。
2-4. 運用会社
上記で説明したスポンサー企業と合わせて確認が必要なのが、資産を運用していく会社の能力です。運用会社としてこれまでにどのような経歴だったのか調べ、健全な運用を行ってきたのかインターネットを駆使して調べましょう。
4.まとめ
はじめてJ-REITをする方向けに最低限必要なことを説明してきました。こんなに調べるの?と感じたかもしれませんが、欲を言えばもう少し調べておいた指標があるぐらいです。
しかし、相談者で失敗した方の多くは上記のことを全く調べずに、証券口座のランキングなどを信用して購入してしまったのが敗因なのです。証券会社を信用するな!とまでは言いませんが、自分たちに有益な情報操作をしていると思っていた方が身のためです。
投資というのは基本自分の意志で行うものであり、他人がわざわざ儲かる情報をあなたに与える訳なく、そんな情報があるなら誰にも言わずに自分で購入するはずです。
上記の判断基準となる情報収集に慣れてきたら、更に一歩踏み込んだ指標の勉強もした方が良いです。REITに関しての記事は近日中に更新するので、よければブックマークなどしておいてください。