中古マンションをリノベーションして失敗してしまった実例

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これから紹介するのは過去に相談にきたK(仮名)さんの実体験です。相談された時には既に助言できる状況ではなく、不動産投資のリスクの怖さを思い知らされる事となりました。

中古マンションをリノベーションして転売・貸出す方法は日頃から行われている事ですが、今後同じ投資を考えている方がいれば、是非読んで損はない内容となっていると思います。

改めて失敗した原因を考えたら、Kさんにすべての原因があるとも言えず、不動産投資は常にリスクと隣り合わせだということを再認識させられました。

それではKさんの実体験を紹介していきます。相談された内容となるべく相違がないように心掛けますが、記憶があいまいな個所も多々あるのでご了承ください。

1.不動産投資をはじめるまで

Kさんは3人兄弟の次男で、大学を卒業して初めて就職した食品メーカーに20年以上勤めており、決して年収は多くないですが真面目という言葉が非常にピッタリの方です。

20代中盤で結婚し、2人の子供にも恵まれ不自由ない生活を送っていました。。実家は一般的な家庭で、母親は子供の頃に亡くなっており、40代になってから父親も亡くなり、兄弟で遺産相続をする事に。

遺言書にはしっかりと細かく明記されており、Kさんには多少の現金とその他諸々が分配されました。その際、相続問題で兄弟が揉める事はなかったようです。

その遺産を相続されたからといって特に高価なものを買う訳でもなく、これまでと変わらぬ生活をするような人間で、金銭、物に対する欲はそこまで強くなかったのかもしれません。

しかし、数年後、小さな事がきっかけで投資をはじめるようになります。

息子が不動産会社に就職

息子が大学を卒業して就職したのが中堅の「不動産会社」でした。賃貸、販売、管理などを行っている会社で、息子は販売の部署に配属される事に。

当時は今のような労働環境にうるさい時代ではなく、不動産会社は特に体育会系色が強く、離職率が高い業種ランキングにも名を連ねていたと思います。しかも販売ですから、一日中受話器を離す事が許されない社風だったみたいです。

不動産会社は体育会系で離職率が高い

まだ20代そこそこ方だと分からないかもしれませんが、「上司が白と言ったら白」の会社が本当にたくさんありました。暴力を振るう上司もいましたし、今同じ事をしたらおそらく訴えられるか、労基に駆け込まれるでしょう。

ちょっと話が逸れましたが、息子は不動産の販売をめげずに続けるも3ヵ月経っても売れず、6ヵ月経っても売れず・・。ここまで来ると給料泥棒と退職に追い込まれるような圧力がかかってきます。でも息子は相当気合が入っていたのか退職しようとはせず、毎日毎日電話を掛けつづけていました。

中古マンションを購入してしまう

そんな状況を見兼ねたのか、Kさんは自分が契約してしまうのです。ちなみに息子から購入したのは以下の通りです。

  • 中古マンション
  • 専有面積は55㎡
  • 新耐震基準前の物件
  • 価格は1,800万円程度

リアルタイムでその物件を見たわけではありませんが、土地的にもあまり良い条件ではありません。すぐ貸し出せる状態であれば良かったですが、リフォームが必要なほどの物件です。

Kさんは自己所有物件を持っていますし、息子の為だけに購入したので、その後の運用などは全く考えている訳ありません。そもそも運用の知識はゼロに等しかったので、購入した中古マンションをどうすれば良いか頭を悩ませていました。

しかし、ほっておくわけにもいかないし、息子に相談したところ別の担当者、遠田(仮名)を紹介されたようです。この遠田こそが失敗の根源となる人物となりますが、この時は只々その人に頼るしか方法はなかったのだと思います。

リノベーションを勧められる

後日、今後の運用について遠田と二人で打ち合わせする事に。その時に提案されたのが「リノベーション」という提案でした。息子の会社はマンションをリノベーションして販売する業務も行っいたようです。

中古マンションを販売しといて、リフォームではなく、リノベーションをよく提案をできたなぁと思いますが、Kさんが素人ということもあり、業績を優先してしまったのでしょう。息子が運用の知識があれば別の提案もあったでしょうが、今となっては後の祭りです。

結果、中古マンションをリノベーションして運用する事になりました。

2.リノベーションでも大きな出費

遠田に言われるがままにリノベーションを承諾し、その後の運用は転売もしくは貸し出す事になりました。当然、物件の管理は遠田に依頼することになっていたので、リノベーションの施工内容もほぼ言いなりだったようです。

リノベーション費用の相場

リフォームのような小規模修繕とは違い、大規模な修繕を行うことを「リノベーション」といいます。したがって費用も数十万で済む事は少なく、数百万以上掛かるケースが一般的です。

材料費などの問題もあるので、その当時と相場が多少違っているとは思いますが、大体の相場を以下で紹介しておきます。

▼リノベーション費用別件数

リノベーション費用の相場

700万円~1,000万円の価格帯が群を抜いて多いのが分かると思いますが、田舎であれば普通に中古マンション一戸購入できてしまう金額です。ただ、どのぐらいの広さを施工するのか分からないので、平米あたりのリノベーション費用もお伝えしておきます。

▼専有面積あたりの費用

リノベーション費用1平米あたりの相場

平米あたり10万円~15万円の価格帯が一番多いです。3LDKのマンションであれば60㎡ぐらいはあるので、1㎡あたり15万円かかる場合は「約900万円」掛かってしまいます。

一から家を建てるぐらいの費用が掛かってしまうのです。

中古マンションのリノベーションで800万円

結局、全面改修することになったKさんは、800万円のリノベーションをする事になりました。その施工内容は以下の通りです。

  • 解体工事
  • 内装工事
  • キッチン
  • 風呂
  • トイレ など

正直、この内容であれば土地を別に購入して、安い施工業者に依頼すれば新築が建ってしまいます。また、その時の費用明細を私も見せてもらいましたが、決して息子の親族に対した良心的な価格ではありませんでした。

3.建物、リノベーションの支払い方法

父親が亡くなった際に相続した現金が残っていたので、マンション購入の支払いに充て、残りは銀行融資を受ける事に。そして、リノベーション費用に関しては、なぜか不動産会社の提携ローンを組む事になりました。

リフォームローンではなく銀行で追加融資すべき

ここでも大きな間違いをしているのですが、銀行に対して追加融資をお願いすべきでした。なぜ不動産会社にローンをお願いしたのか不明ですが、おそらく遠田に騙されたのでしょう。

Kさんはそれまで無借金でやってきて、信用情報などは相当信用があったはずです。不動産会社はその事を知ってるのに、自社のリフォームローンを組ませるとは相当悪質に感じます。

なぜ追加融資が良いのか分かりますか?

  1. 銀行とリフォームローンが加わるので、支払総額が大きくなる
  2. 銀行よりリフォームローンの方が金利が高い

リフォームローンを利用する時は銀行に見放された場合

Kさんのケースで銀行で借りれる可能性があるのに、融資先を分けるのは問題外です。結果、後々の支払いが苦しくなってしまう事になります。

4.運用開始

1ヵ月程度で中古マンションのリノベーションも終わり、ようやく運用を開始する準備が整いました。毎月の支払いが多少きつくなると予想していたKさんは、転売する事を希望していました。

これまで総額で2,600万円程の費用が掛かっており、1円でもプラスになれば良いと考えていましたが、そう思い通りにはいかないものです。

転売では損してしまう

売り手であるKさんが販売価格を決める権利があるのは当たり前です。当然のように掛かった費用以上に手元へくる価格にしなくてはいけませんが、2,600万円で販売しても仲介手数料分がマイナスになるので、3,000万円程度で販売する必要があります。

しかし、ここにきて衝撃の内容を告げられます。

3,000万円では買い手がつかない

その理由はマンションの立地があまり良くないのと、リノベーションに費用が掛かり過ぎてしまっているので、なかなかその金額で買い手を見つけるのは難しいと言われたようです。当然、売ったのはそちらでしょう?と問いただしましたが、言い訳を並べられるだけでどうする事もできず。

そうすると不動産会社より「転売ではなく、賃貸で貸し出しませんか?」と提案がありました。たしかに転売で損すると分かっているなら、長い目でみて損しない方がいいと判断し、不動産会社に管理をお願いし貸出すことにしました。

予想以上の持ち出し

賃貸の募集を出してすぐに入居が決まり、これから少しずつ回収していけば!と安心する気持ちもありましたが、いかんせん銀行とリフォームローンの支払いで毎月5万程度の持ち出しが結構きつかったようです。

Kさんの年収は500万円程度で、大学に入学前の娘もおり少ない預金から崩していく生活でした。そのような生活が1年ほど続いていましたが、とうとう支払いに行き詰ってしまいます。

5.支払苦で不動産売却

067231これまでの流れをみていれば支払いが困難になることは分かりきっていた事です。

本来であれば遠田もしくは不動産会社の人間が対策を講じるべきでした。突っ込 みたいポイントが沢山あると思いますが、この状況ならまず「銀行の追加融資」で支払額を減らすことだってできたはず。

不動産会社には度々相談していましたが、これといった助言はしてもらえず本当に困り果てていた時、ついに最終的な提案が・・

売却されては如何ですか?

悪徳な不動産投資会社が使う手法ですが、収益の見込みがない物件を無理やり販売し、支払いが困難になった頃に売却を提案する。こうすれば2重で利益をだすことができます。

はじめから売却させるために事が進んでいたようにも思え、投資をするうえでこのような業者がいることを忘れてはいけません。

ローンの残高があるのに売れるのか?

銀行融資、リフォームローンを完済していないので、もちろん普通に売却するのは債権者が認めません。貸してる額より安価で売却され、その差額が払えなくなっては困るからです。ではどうやって売却するのか?

任意売却であれば可能です

任意売却を簡単に説明しますが、ローンがまだ残っていたり、ローンがなくても売りに出しているけど全く売れない場合に、行う売却方法です。債権者は貸した分を全額回収しなくてはいけないので、任意売却を認めないと競売などの選択肢しかなくなってしまいます。

そうなると無駄な費用も掛かり、競売では通常より売却額が安価となってしまい、回収できなくなる可能性が高くなってしまいます。

そうならない為には、債権者にとっても良い方法といえます。

任意売却へ

不動産会社に任意売却についてメリット・デメリットの説明を受け、支払いが滞ってしまうよりは・・と思い苦渋の決断をする事に。ただ、任意売却は依頼者がすると言ったところで簡単にできる方法ではありません。

上記でも説明しましたが、債権者及び保証人の同意が必要となります。不動産会社と捻密に打ち合わせして、手続きを進めた結果・・

任意売却の許可がおりました。もし、任意売却が認められずに現状のまま支払っていく事になったら、最終的に自己破産となっていたとKさんは言ってました。

売却により被った損失

そして、手続きも終わり、購入希望者の立会いを何度か行い、通常より早めに売却まで終える事ができたようです。任意売却にはそれなりの経験とスキルが必要ですが、やはりこの不動産会社はKさんと同じような販売方法を、これまでも相当してきたのだと思います。

とはいえ、ひとまず一件落着し、後は残債を少しずつ返済していくだけですが、いくらで売却したと思いますか?

約1,200万円

結局、Kさんはこの不動産取引によっていくらぐらい損失がでたのか計算してみました。細かい諸費用や税金などは聞いてないのでざっくりとした計算ですが、

中古マンション購入で被った損失

ちょっと適当すぎる収支内容となっていますが、1,540万円程度の損失を被っている事になります。この価格帯で購入したマンションにしては損失金額が多すぎます。私がこれまで関わってきた中でも、最低の収益率かもしれません。

6.投資を失敗した原因

ここまで損失が大きくなってしまった原因は一体なんでしょうか?いろいろと思い当たることはありますが、直接的な要因となった失敗について言及していきます。

不動産物件の選び方

Kさんに投資の興味がなく息子のためとはいえ、大きなお金が動く「不動産」を慎重に精査するべきでした。仮に品定めが分からない場合でも、複数の物件データを見比べるぐらいは必須です。基礎知識を知りたい方は「不動産投資で失敗したくない人が心得ておく4つの注意点」をご覧ください。

業者の選び方

普段から不動産会社と接してる人は少ないので、なかなか良心的なところか見分けるのは難しいはずです。その為、複数の業者と打ち合わせをし、対応などを確認するようにしてください。

融資について

通常であれば客へのメリットを優先して案内してくれますが、中には自社提携ローンを無理やり進めてくる業者はいます。そのリスクを避けるためには別の専門家に相談したり、自分自身である程度の知識を付けておくようにしましょう。

当サイトでも最低限知っておく必要のある情報を更新しているので、ぜひご覧になってみてください。

売却に関しては「投資マンションの売却で失敗した人に共通していた3つの選択

仲介手数料に関しては「不動産仲介手数料の計算方法や仕組みを知れば無料にできる

おすすめサイトに関しては「不動産投資の初心者、サラリーマンにおすすめするブログ7選

まとめ:投資に失敗した実例

最後まで読んでいただきありがとうございます。長文になってしまい読み疲れたと思いますが、同じような失敗を未然に防ぐには「情報を知る」事が一番です。

不動産投資を行う人であれば、知って損をする情報など一切ありません。より多くの知識をつければ、いざ購入となった時にきっと役立っている実感を感じてもらえるはずです。

現在は不動産バブルとも言われている時代なので、少しでも安心できる将来を築けるよう、共に頑張っていきましょう。

失敗しない不動産投資術

不動産投資に”絶対”はありません。しかし、正しい知識を蓄えることによってリスクを最小限に留めることができ、資産を増やせる可能性は広がります。

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